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OpenAIの資金調達スキーム

AI相場の“循環性”とレバレッジをめぐるファクトチェック(2025年10月8日・東京)

本稿は、以下の3点について一次資料/主要メディアの根拠つきで確認したものです。断定を避け、確認できる“事実”と“投資家にとっての論点”を分けて記述します。


1) オラクルは「無茶苦茶な財務レバレッジ」か?

確認できた事実

  • ラクル(ORCL)のFY2025実績では、クラウド関連を中心に通期売上+8%($57.4B)。Q4公表は公式IRに残る。(investor.oracle.com)
  • レバレッジ指標では、LTMのTotal Debt/EBITDAが概ね4.0x近辺との外部集計がある(平時より高め)。厳密値の把握は10-K/10-Q原表の継続確認が必要。(Finbox)
  • FY2025 Q4以降、クラウド伸長と受注残(RPO)の拡大が強調。アナリストサマリーではRPOが約$138Bに拡大したとの整理。(Futurum)

論点(投資家の着眼点)

  • レバレッジは高めである一方、キャッシュ創出力(営業CF/FCF)と満期分布金利費用の重さDC投資・リース負債の増勢を10-K/10-Qで継続点検する必要。10-K本文・注記には「Notes Payable and Other Borrowings」の詳細がある。(last10k.com)

小括:“高め”は事実。ただし「無茶苦茶」かは、債務の期中プロファイルとCFのバランスを併記して評価する領域。単一指標だけで断じるのは早計。


2) 「NVIDIA×OpenAI(ほか)の循環取引」は事実か?

確認できた事実

  • “Circular deals(循環性)”という用語・問題提起は主要メディアで繰り返し報じられている。NVIDIAがパートナー/顧客側に投資・与信→その資金でNVIDIAGPU需要が還流する構図が収益の質に関する懸念として論じられている。(ブルームバーグ)
  • 例:CoreWeave関連では、未消化キャパに対する最大$6.3Bのバックストップに言及する報道がある。(Yahoo!ファイナンス)
  • 需要の大型契約(例:CoreWeaveとMetaの最大$14.2B契約)も相次ぐ。(ウォール・ストリート・ジャーナル)

論点(投資家の着眼点)

  • 現時点で会計不正と断じる一次根拠は提示されていない。ただし、外部資金に依存した“循環性”が売上の持続性・マージンの質を歪めないかは、今後の決算でキャッシュ回収・粗利率・関連当事者取引の開示を追うべき論点。(モーニングスター)

小括:“循環性”懸念そのものは複数の一次・準一次ソースで確認済み。投資家視点では“収益の質”と“信用連鎖リスク”のモニタリングが要点。


3) AMD×OpenAIのワラント取引は「株価が上がれば万事OK」か?

確認できた事実

  • 公式発表:OpenAIは数年で“最大6GW”相当のAMD GPUを導入。初期1GWは2026年下期に展開見込み。(OpenAI)
  • SEC 8-K(AMD提出)OpenAIに最大1.6億株(発行済の約10%)のワラント$0.01/株で付与。達成条件に応じ段階的に権利がベスト。(Advanced Micro Devices, Inc.)
  • 主要報道の要約ワラントの経済価値はAMD株価に強く連動し、供給達成が進むほどOpenAI側のアップサイドが膨らむ設計。発表直後、株価反応は大きかった。(Reuters)
  • 注意点(市場の見方):著名投資家の「発表と実装は別」という慎重コメントが出ており、製造・納入・稼働の実行フェーズで評価されるべきとの指摘。(The Times of India)

論点(投資家の着眼点)

  • 本件は“供給コミット × エクイティ連動の対価”という金融工学的設計株価上昇がOpenAIの対価原資になり得る側面は“事実”だが、行使は条件連動で、AMDの実デリバリー(2026H2〜)と市況に依存。(Advanced Micro Devices, Inc.)

小括:「株価さえ上がればOK」的な単純化は不正確達成条件・供給責任・実装時期の三点がカギ。


総括:「AIは引き返せず、株価は上がり続けねばならない=バブル」なのか?

いま言える“事実”

  • 超大型の前払・供給コミット(GW級)と、エクイティ連動の支払い設計(ワラント急速に一般化株価期待と供給能力が強く結びつく取引が増えている。(OpenAI)
  • 循環性(Circular deals)複数の一次・有力二次ソースで反復指摘収益の質/信用連鎖下振れ時の脆弱性として可視化。(ブルームバーグ)
  • 供給側(例:オラクル)は高めのレバレッジ大型DC投資受注残拡大が同時進行。循環が回る間は正の財務レバレッジ、失速時は逆回転となる構図。(investor.oracle.com)

ただし、「バブル確定」と断じるには不足。実装(製造→納入→稼働→売上化)のタイムラグ、推論ARPU・粗利の実測資金繰り(利払いと回収)四半期データが必要です。現時点では“高期待×複雑な資本スキーム”上振れ・下振れのテールを太らせている、が定量的な結論。


実務向けウォッチリスト(毎月更新推奨)

  1. 循環性スコア

    • ベンダー→顧客への出資・与信額/当該顧客のベンダー調達額。上昇=質の劣化リスク増。(ブルームバーグ)
  2. ワラント希薄化感応度(AMD

  3. デリバリー→稼働→売上化のラグ

    • 2026年下期(初期1GW)の立ち上がり実績/稼働率/粗利。(OpenAI)
  4. 債務耐性(ORCLなど供給側)


参考(主要ソース)


必要でしたら、上記ウォッチリストをCSVテンプレ化して、NVDA/AMD/ORCL/主要クラウド事業者を月次でモニタする表をすぐ用意します(例:date, metric, source_url, value, note)。